第54章 幕間 5
「ポルナレフ、交代の時間だ。」
ちょうど思案していた花京院の声がする。
振り向くと、花京院が寝床からこちらに向かって歩いてきていた。
(花京院もアンナのことを嫌いじゃなさそうだし、なんというか真面目な者同士案外お似合いだと思うんだがな…。)
花京院の顔を見て、ポルナレフはぼんやりとそんな事を考えていた。
「どうした?眠らないのか?」
気がつくと、花京院はポルナレフのすぐ近くに腰を下ろしていた
そして、一向に動こうとしないポルナレフを怪訝そうに見ていた。
(勝手に乗りかかった船だ。ちょいとだけ、背中押してやるか…。)
回りくどいのは苦手なポルナレフは、単刀直入に話を切り出した。
「なあ、アンナのことどう思う?」
一瞬の沈黙の後、花京院は「なぜそんなことを聞くのか」とでも言いたげな表情で答えた。
「優しくて頼りになる友人だと思うが、それが?」
「あーもう!」
ポルナレフはやれやれとため息を付きながら、説明した。
「そうじゃなくてよ。女として、あいつのことどう思ってんのか聞いてるんだよ。」
「なっ!?君まさかアンナさんのこと…。」
「ちげーよ!」
慌てた様子でこちらに寄ってくる花京院に、ポルナレフは再びため息をついた。
「お前だよ、花京院。」
「ぼ、僕?」
花京院は想定外の答えに、思わず目を見開いた。
「なぜ、僕が…。」
「そ、それは…。」
さすがに「態度に丸出しだから」といえば怒られそうなので、ポルナレフは言い訳のように早口で言葉を並べた。
「ま、前に、スタンドが見える人間じゃねぇとわかり合うのは難しいって言ってたろ?アンナにはソードマゼンダがいるし、ハイエロファントのことも見えるじゃねぇか。だ、だからそういうことなのかと思ってよ!」
「ポルナレフ。生憎だが、僕はその手のことには苦労していないんだ。」
「は!?」