第7章 花京院典明 1
仮眠から目が覚めたときには、辺りはすでに暗くなり始めていた。
「しまった!寝過ごした!!」
午後からは今後について話し合いをすると言っていたはず。私はおじいちゃんたちがいるであろう茶室へと行った。
「おじいちゃん!お昼には起こしてって言ってたのに!…あれ?」
茶室には誰もいなかった。
そういえば、家の中がやけに静かだった。私は嫌な胸騒ぎがして台所へと向かった。
この時間ならホリイちゃんが夕食の準備をしていると思ったからだ。
「ホリイちゃん、おじいちゃん知らない?」
ホリイちゃんは思った通り、台所で夕食の支度をしていた。そして何でもないような顔で私の質問に答える。
「あら、アンナちゃんよく眠れた?おじいちゃんとアヴドゥルさんなら、承太郎の部屋で話し合いをしていたわ。」
なるほど。だから、茶室にはいなかったのか。
「そうなんだ。ありがとう。それにしても良い匂いね。今日の晩御飯なに?私も手伝う。」
「あら、ありがとう。今日はね新しくお客さんも来たからカレーライスにしたわ。二人だと余っちゃうからなかなか作れないのよ。アンナちゃんは、付け合わせのサラダを作ってくれる?」
「お客さん?」
「そうよ、承太郎のお友達で花京院君って言うの。怪我をしているみたいだから、今夜は泊まってもらうことにしたの。」