第7章 花京院典明 1
承太郎が友達を?
ホリイちゃん曰く“礼儀正しくてとっても良い子”なのだそうだが、お人好しのホリイちゃんの言うことだからあまり信用できない。
それに、こんなときに承太郎は呑気に友達なんて呼ぶだろうか?それも怪我をした友達を。
この様子だと、きっと学校で何かトラブルがあってやむなくその子を連れて帰ってきたのだろう。そして、承太郎はきっとホリイちゃんには事情を話していない。
ならば、これ以上考えても仕方ない。詳しいことは後で本人たちに確認することにして、私は晩御飯の手伝いをした。
晩御飯が完成したので、居間に待っていこうとする私にホリイちゃんが声をかけた。
「アンナちゃん待って。さっきも言ったけれど、花京院君は怪我をしているからきっと動くのも大変だと思うの。悪いけれど、花京院君の分だけお部屋まで持っていってあげてくれないかしら。」
私は承太郎が連れて帰ってきたという花京院君に少し興味が湧き、今日の出来事についても話を聞きたかったので、
「わかったわ。でも、一人で食べるなんて可哀想だから、私も一緒にその子と食べてくる。」
と言い、トレイに二人分の食事を乗せて、花京院君がいる部屋に向かった。