• テキストサイズ

【ジョジョ】タロット~剣の暗示を持つもの~

第50章 運命の車輪 2


「だって私女の子よ?もう少し大きくなったらブラジャーだってするしさ、男の子のために爪だって磨くわ!」

誰も聞いていないというのに、アンちゃんは強い口調で話を続ける。

「そんな年頃になってから旅に出るなんて、みっともないでしょ?今しかないのよ、今しか!」
「アンちゃん。そんな年頃になってから旅している、お姉さんがいること忘れてない?」

私は思わずツッコミを入れてしまった。
さすがにブラジャーはしてるけど、男の子のために爪なんて磨いたことはない。

すると、アンちゃんはやれやれと言った感じでため息を付いてこちらを向いた。

「お姉さんみたいに、恋も知らないまま大きくなるなんて絶対イヤよ!」
「なッ!?」

恋してるわよ!と言い返そうとしてハッとした。
花京院がすぐ近くにいるのに、そんなこと言えるわけないじゃない…。
というか、かわいい顔して私のことをそんな風に見ていたなんて…。

色々思案を巡らす私を見て、何かを察したのかアンちゃんは嬉しそうに大声を上げた。

「あー!お姉さん、もしかしてかk…」
「か、か、彼氏なんていたことないわよ~!あまり置きな声で言わないでね~。」

“花京院”と言いかけたアンちゃんを遮るように、私は大声を出した。
何を言い出すのよ、この子!

アンちゃんの奥では、承太郎の肩が震えていた。
帽子で顔を隠しても、笑ってることくらいわかるんだからね、承太郎。

私は恥ずかしさと動揺で、口をパクパクと動かすことしかできなかった。

「ふ~ん。でも、好きな人はできたってことね。どんな人なの?かっこいい?イケメン?ねえ教えてよ!」

アンちゃんは私の様子なんてお構いなしで、話を続ける。
好きな人の前で、好きな人の特徴を話すことになるなんて嫌よ。

「嫌よ。教えない。」
「え~どうして?かk…」
「わ、わかったわよ!言えばいいんでしょ!」

私は慌てて、花京院の名前を出そうとする彼女の口元を手で抑えた。
アンちゃん、何が何でも私に言わせるつもりなのね。
私はひとつ大きなため息をついた。
なんでこんな小さな女の子に翻弄されてるのかしら。

私はアンちゃんを少しだけ睨んで、答えた。

「一強くて、頼りになる人。」
/ 237ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp