第48章 幕間
ハイエロファントを出して花京院が先陣きって歩いている。
その後ろを承太郎と並んで歩いているんだけど…。
「承太郎。いくら私が美人だからって、そんなに見つめられると顔に穴があいちゃうわ。」
私のジョークは無視して、承太郎はまだじっと私の方を見つめていた。
怒っている様子じゃあないから、きっと花京院と何を話したのか気にしているんだろう。
承太郎から質問する気はなさそうなので、私は心配はいらないということだけ伝えることにした。
「さっきは、気を利かせてくれてありがとう。でも残念ながら、あなたに話せるようないいニュースはなにもないわよ。」
「その割には顔がニヤついているが?」
「え、うそ!?」
「ああ、嘘だぜ。」
してやられた、と思ったがもう遅い。
勝ち誇った承太郎の顔を見て、私は観念した。
「大した事じゃあないわ。過去のこととか自分の気持ちを、ちゃんと伝えられたってだけよ。それで満足なの。だから承太郎。何も言うんじゃあないよ。」
時間もないので端的に結論を伝えたが、勘のいい承太郎はそれだけで大体の事を把握したようだった。
承太郎はいつもより少しグッと力を入れて、私の肩に手をおく。
『わかった』という意味なのだろうが、さすがに少し痛くて思わず苦笑いした。
「二人とも!13時の方向にそれらしい人がいます!」
花京院の声がして、私達は正面に向き直った。
話に夢中になっていたせいか、花京院はかなり先の方を歩いていた。
「さ、この話は終わりよ。さっさと行きましょう。」
私達は、花京院のいる方向に向かって走った。