第48章 幕間
「さ、花京院。ハイエロファントでお金持ちそうな人を探して。」
「あ、あのアンナさん。すみません、話が全く見えないのですが。」
「これから、私とソードマゼンダがまじない師になるのよ。」
ドヤ顔でそう言うと、承太郎と花京院はキョトンと目を丸くした。
私は順を追って作戦を説明する。作戦ってほどのものでもないけれど。
「インドは大家族が多い。だから家族の中に治してほしいケガ人の1人や2人いるはずよ。しかもインドは家族間の絆が強いの。車を持っているお金持ちを探して、ソードマゼンダで傷を治して…。」
「礼として、車をもらうってわけか。」
「そういうことよ、承太郎。」
穏便に物をもらうなら等価交換が一番早い。
それに、このあたりは家も大きかったから、車を持っている富豪も多いはず。
医者でも治せない怪我が治るのなら、車くらい安いものよ。
結構良い案だと思ったんだけど、承太郎と花京院は浮かない顔をしていた。
「どうしたのよ、二人とも。」
「い、いえ。ただ、その…。」
「大丈夫。1人治療すれば、あとは芋づる式で車をもらえるまで治療すればいいだけだから。」
「てめー、占いやまじないの経験はあるのか?」
「あるわけないでしょう?でも、アヴドゥルが占いしているのを近くで見てきたし、大学で心理学だって勉強してるわ。見様見真似で、なんとかなるわよ。」
自信満々にそう言うが、承太郎と花京院はまだ納得がいかない顔をしていた。
仕方がない、ダメ押しするか。
「まあ、これが嫌なら、承太郎にお金持ちの女の子を誘惑して車をプレゼントしてもらうしか…。」
「却下だ。」
言い切る前に却下する承太郎に、私は思わず苦笑いした。
「じゃあこの方法で行くしかないわね。」
ふたりとも渋々と言った感じではあるが、私のあとに付いてきてくれた。
「下手に強奪すると、また騒ぎになりかねないわ。多少無茶だけど、ここは穏便な手段で生きましょう。」