第6章 悪霊にとりつかれた男 3
「1つ目はアンナが生まれつきのスタンド使いだったということじゃ。お前さんが留置場から出るとき言っていた通り、アンナが小さい頃見えるといっていた天使の正体こそがスタンドだったんじゃ。当時のわしらにはスタンドの能力が目覚めていなかったゆえに、見ることも感じることもできんかったがな。」
「さっきもいったけれど、この子の名前はソードマゼンダ。この子の能力は風を起こすこと。」
そういうと私はスタンドを出現させ、テーブルに置いてある花を風で揺らしてみせた。
「アンナのスタンドは、本体の射程距離こそ短いが、風送ることで相手の位置を探ったり、その気になればハリケーンだって起こせる強力なスタンドじゃ。そして最近、ディオの影響によりソードマゼンダはもうひとつの能力に目覚めた。それはー」
ソードマゼンダはおじいちゃんの話に合わせて、おじいちゃんがハーミットパープルで壊したポラロイドカメラを手に取った。そしてー。
「手に触れたものを治す力よ。人でも物でも、自分以外の、壊れているものを何でも治すことができるわ。」
そう言いながら、ポラロイドカメラを新品の状態に戻した。
「承太郎。確かに、この治すという能力はディオの影響によって目覚めたものよ。でも、これは私の意思そのもの。あなたが言うように、私は俊敏に動けなければパワーもない。でも、私だって一緒にいってみんなを守りたい。これ以上家族を失いたくないの。承太郎が私を心配してくれるのは嬉しいけど、私だって覚悟してここに来た。それはわかってほしい。」
承太郎はまっすぐに私の目を見た。目を見て、私がどこまで本気なのか探っているみたいだった。私も意思の固さを示すために、まっすぐに承太郎を見る。しばらく沈黙が続いた。