第36章 皇帝と吊られた男 4
集落に入ると、すぐに傷を負っている男を見つけた。
ポルナレフは私を降ろすと、そのJ・ガイルと思しき男に近づいていく。
「野郎!ついに会えたな、J・ガイル!」
ジリジリと男の方に詰め寄っていく。
攻撃に入ろうとしたその時、花京院が何かに気が付いた。
「ポルナレフ!それは両右手の男じゃあないぞ!J・ガイルじゃあない!」
花京院が叫んだと同時に飛んできたナイフが、勢いよくポルナレフに突き刺さる。
「な…なにぃ~。」
「「ポルナレフ!」」
その場に座り込むポルナレフの方へ駆け寄りながら、周囲を見渡す。
「奴はどこにいるの!?」
「バァカめー。ここだ!」
声のした方を見ると、建物の陰から両右手の男が出てきた。
「おれがJ・ガイルだ。」
両右手の男は、スキンヘッドで、お世辞にも男前とは言い難い容姿をしていた。
さっきポルナレフにやられた傷からは、まだ血が滴っている。
「そいつはただのその村にいた流れ者だよ!」
自分の傷と同じところにナイフで切れ目を入れておくことでカムフラージュしたのだと高らかに語り始めた。
重症を負っていて、しかも自分のスタンドの正体が暴かれているというのにこの余裕は一体何なの?
未だニヤニヤと話し続けるその男に、私は得体の知れない恐怖を感じた。
J・ガイルのバカにしたような口調に、花京院の怒りは頂点に達したようで、ハイエロファントグリーンを取り出した。
「きさま!くらえ!ぼくのエメラルド…!」
「へーっ待ちな!」
J・ガイルはエメラルドスプラッシュを放とうとする花京院を引き留めた。
そして、「このお方たちがみんなにお金を恵んでくださるとよー!」と周囲の人達を呼び集め始めた。
「これがどーいうことか理解したか。」
J・ガイルはニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながら私達の方を見てきた。
「ありがてぇ」「恵んでくだせー!」「バクシーシ!」
周囲の人たちがぞろぞろと、私たちの方に押し寄せてくる。
気がつくと、集まってきた人々に囲まれてしまっていた。