第36章 皇帝と吊られた男 4
私達は、J・ガイルのいるところへ急いで向かっている。
それは、良いのだが…
「ポルナレフ!自分で動けるから降ろして!」
ケガをしているポルナレフに負担をかけてしまう申し訳なさと、お姫様抱っこされている気恥ずかしさで私は語気が荒くなった。
そんな私を知ってか知らずか、ポルナレフもきつい口調で言い返してくる。
「アンナ、おめー自分がさっき背中刺されたのを忘れたのか!走ったら傷口が開いちまうぜ!」
「それはお互いさまでしょう!あなたもケガしてるのよ!」
「じゃあ、敵に狙われていて、歩くことさえできねえオメーを一人で置いて行けってのか?そんなことできるわけねーだろ!黙って大人しく抱かれてろ!」
「だーかーらー!歩けるってば!」
「二人とも落ち着いてください!今は言い争っている場合じゃあない!」
言い合う私たちの間に、花京院が割って入る。
今まで聞いたことのない低い声に、私は思わず鳥肌が立った。
「アンナさん。ポルナレフの言う通り、重症を負っている君を走らせるわけにはいきません。ポルナレフに抱えられるのが嫌なら、僕が代わります。」
「「????」」
花京院。
ポルナレフは嫌だけどあなたに抱っこされるならOKって、そんなわけないでしょう…。
冗談にも聞こえるような、花京院の唐突な提案に私とポルナレフは困惑して顔を見合わせた。
でもあまりに真剣な花京院の顔を見て、冗談なんかじゃあ無いということを瞬時に理解した。
花京院。あなた、意外と天然さんなのね…。
花京院の意外な一面に、少し肩の力が抜ける。
「ごめん、花京院。意地を張っている場合じゃあないわよね。」
私はソードマゼンダでポルナレフの傷を治し、その太い首に手を回した。
「さ、私はしっかり掴まってるから二人とも急いで!ソードマゼンダで追い風するわ!」
「「おう!」」
ポルナレフと花京院は顔を見合わせてフッと笑うと、スピードを上げて走り出した。