第31章 火の棒と大地の金貨 3
「よし、こっちは異常なしだ。アヴドゥル、そっちはどうだ?」
「こちらも大丈夫だ。」
僕とアブドゥルさんとジョースターさん、ポルナレフと承太郎とアンナの三人組に別れて船を捜索していた。
ダークブルームーンの件もある。それに昨日の事もあるから、SPW財団が用意してくれた船だからといって油断はできない。
「これだけ探しても何もいなかったんだ。敵のスタンド使いはいねーだろう。眠り姫も限界みたいだし、そろそろ自由時間にしねぇか?」
「誰が眠り姫よ!」
「おめー、バレねーとでも思ってたのか?さっきからうつらうつらしやがって!」
「ぐっすり寝たおじいちゃんと違って、夜中戦ってたんだから仕方ないじゃないのよ!」
「なんでわし…。」
「開き直ってんじゃあねぇーよ!」
ポルナレフとアンナが言い合いを始めると、承太郎はやれやれと言わんばかりに帽子を深く被り直した。
「はぁー、とんだとばっちりじゃ。最近は承太郎に感化されたのか、アンナまで生意気になってきおったわい。」
「ハハハ!親離れの時期なんですよ、きっと。」
「そんな寂しこと言わんでくれ、アヴドゥル。わしは孫に愛されたいんじゃ。」
「やかましい!うっとうしいぜ、お前ら!」
賑やかだった声も、
承太郎の声で一瞬しんと静まったが、アンナはそれを気にもせず承太郎の方へ歩み寄った。
「はいはい。わかったわよ、承太郎。」
そう言いながら、彼の胸ポケットからタバコを取り出す。
「ごめんね、無駄話なんかして。タバコ吸いに行きたいんでしょ?おじいちゃん、どうする?」
アンナはジョースターさんの方を見た。
あの承太郎の一言でそこまで察することのできる人物などそういないだろう。
ジョースターさんは、うーむと少し悩んだあと答えた。
「まあ、これだけ見回れば充分じゃろう。各々好きに過ごそう。ただし、あまり単独では行動せんようにな。」
ジョースターさんの一言でその場は解散となり、承太郎とポルナレフはタバコを吸いにいってしまった。
「花京院、お前さんも疲れた顔をしておるぞ。少し休んどくといい。」
「ええ。ありがとうございます。」
アンナは既に椅子にもたれて仮眠をとっている。
僕も眠気が限界だ。
アンナの隣の椅子に腰掛けると、僕はそのまま意識を手放した。