• テキストサイズ

【イケメン戦国】天下の姫君【短編集】

第11章 【明智光秀】愛、故の戯れ①


「お前、桜姫の事が心配じゃないのか?」

怒りのこもった秀吉の言葉に肩を竦め、彼の腕を振り払う。もう一度、時間の無駄だと呟いた光秀はその場を後にするべく一歩を踏み出そうとしたが、再び秀吉の手によってそれを阻止された。

「お前、何か知っているのか?」
「知らん」
「だったら何故、時間の無駄だなんて言うんだ」
「お前には関係ないだろう」

もう一度、秀吉の手を振り払おうとした時、光秀の着物の裾から綺麗な石で綴られた腕飾りがカラリと廊下に落ちる。
それは明らかに桜姫に送ろうと思ったものだろうと、そこにいた誰もが思った。
桜姫のお気に入りの小袖に良く似合いそうな色合いの腕飾り。
光秀は、ゆっくりとした動作でそれを拾い上げる。

「……わーむほーるとは、小娘が元の時代に帰るための手段だ」

いつだったか、桜姫が秘密だと言って光秀にだけ教えてくれた話だった。2人で月を眺めながらそんな話をした事を思い出す。その時の彼女の微笑みは今でも忘れられないくらいに心を惹きつけさせられた。
唇を重ね合わせたいと思ったのもその時が初めてだった……。

「それを三成に話していたって事は……おい、三成、他にあの子、何か言ってなかったの?」

三成の隣にいた家康が焦った様子で彼を問い詰める。
廊下で光秀を捕まえていた秀吉も、彼を見つめたまま何かを探ってる様子だった。
桜姫が現代に帰ったかもしれないと言う可能性を聞かされた武将たちは焦りを見せて、各々何か思いつめている様子が隠せない。
さすがの光秀も目を伏せてしまった。
/ 160ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp