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【イケメン戦国】天下の姫君【短編集】

第9章 【明智光秀】待人来る①


信長と鷹狩に行った事、三成と文字の練習をした事、家康の飼っているわさびに餌をやった事など、桜姫の話は尽きない。
桜姫が不意に、自分の髪に刺さっていた簪に手を滑らせクスッと笑った。

「秀吉に買ってもらったか」

光秀の言葉に、驚いて目を丸くする桜姫。

「どうしてわかったの?」
「お前の事なら、何でも分かる。お見通しだ」
「城下の市で見ていたら……買ってもらって……」
「別に構わん」

他の男に買ってもらったものを身に着けるなんて…と少し罪悪感を感じたのか桜姫の声が小さくなるが、光秀は顔色一つ変えることなく返事をする。
ホッとした様な、少し残念なような不思議な気持ちになったが、そっと差し伸べられた光秀の手が桜姫の簪を外した。

「政宗の甘味は美味しかったか?」
「えっ?うん。美味しかったよ。今度は、光秀さんも一緒に食べよう」
「俺は、味が良く分からんからな」

確かにあまり食に興味のない光秀である甘味にも興味はないだろう。

「って言うか、何で政宗に甘味を作ってもらったの知ってるの?」
「さぁ?」

こうしていつもはぐらかされる。
何故か、光秀は桜姫の事を何でも知っていて、嬉しいような気もするが、何故そんなにも自分の事がばれてしまうのか謎でもあった。

「光秀さんは、何でも知ってるんですね」
「あぁ、そうだな」

光秀は抱きしめていた桜姫の肩に顔を埋め、深呼吸をすると、肩を竦めた彼女を抱え直し口づけを落とす。甘い口付けは何日ぶりだろうか?いくら彼女の情報を得ていても、実際の彼女に触れられる時間は少ない。欲が深いのかもしれないが、こうしていられる時間は大切にしたかった。
こんなことを思うのは罰当たりなのかもしれない……しかし今、目の前にいる想い人を抱きしめずにはいられなかった。
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