第5章 【石田三成】鈴音と共に…①
三成に促されて机の前に腰を下ろし離れていた時間の事を互いに話す。
三成はアッと思い出して、懐から何かを取り出した。
お土産と言って渡された包みを開けると、綺麗な簪が入っている。紫色の布地で作られた桔梗の花飾りと小さな鈴が付いていて、軽く揺らすと可愛らしい音が鳴った。
「かわいい」
「桜姫様に似合うかと思いまして、秀吉様にも褒めていただきました」
三成の指が簪に触れて、再びチリンと音がなる。
「それに……桜姫様を探しやすくなるかと」
微笑む三成は、もう一度鈴を鳴らした。
迷子になりやすい桜姫が歩けば鈴が鳴るというだろう。
喜んでいいのか怒った方が良いのか複雑な気持ちになった。
それでも自分のためにと懸命に選んでくれたであろう三成の気持ちはやはり嬉しいもので素直にお礼を言えば、三成からはお礼の代わりにと深い口付けを求められる。
「三成くんのえっち……」
「えっち?ですか?」
顔を真っ赤視にして呟く桜姫の顔を覗き込みながらキョトンとした顔をする三成にそのまま褥に押し倒されたのだった。