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【イケメン戦国】天下の姫君【短編集】

第3章 【徳川家康】揃い飾り①


翌日、朝から家康の作る薬の調合の手伝いをしていた桜姫。
昼を過ぎた頃になり家康に城下へお遣いに出たいと申し出る。

「どこに行くの?急ぎの用事?」

生憎、家康はこれから信長の元へ出なくてはならず、一緒に出掛ける事ができない。急な申し出で家臣の手隙があるかもわからないのだ。

「桂木屋へ行きたくて」
「昨日の何か不備でもあった?気に入らなかったとか」

家康の言葉に首を横に振る。

「着物はとっても気に入ったよ。家康が選んでくれたんでしょ?」
「そうだけど」
「お願いしていたものを取りに行くだけなの、すぐに帰って来るから一人でも大丈夫だよ」

そうは言っても、やはり一人では心配だ。
信長の用事を断るわけにはいかないし、予定が空いていそうな者がいないかと思案する。

「とりあえず一緒に城に来て、手が空き次第一緒に行くから」
「でも……」

家康の手を煩わせるのは申し訳ないし、本当ならば一緒に行きたくないのだ。
しかし、家康に逆らう事も出来ず桜姫は城へ共に登城することとなってしまった。
城へ向かう道すがら、城壁の確認をしていると言う秀吉と三成に出会う。何だか困った表情の桜姫を見て秀吉が声を掛けた。

「どうした?家康といるのに浮かない顔だな」

揶揄いながらも心配してくれる頼れる兄だ。苦笑いを浮かべながらも何でもないと返事をした桜姫であったが、どことなく落ち着かない様子を見せている。

「では、秀吉様。私は城下へ行ってまいりますね」

確認を終えた三成が発した言葉に桜姫がパッと顔を上げた。

「三成くん、城下に行くの?」
「えぇ、信長様のお遣いで南蛮から届いたと言うお菓子を受け取りに行くのです」

三成の話を聞いて、桜姫は家康の方へ顔を向け一緒に城下へ行ってくれる人を見つけたから出掛けさせてくださいと言わんばかりに彼の着物の袖を引っ張る。
家康が大きなため息をついたのは言うまでもない。
よりにもよって三成……奇遇すぎる。
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