第2章 【伊達政宗】音の在処②【R18】
翌朝、先に目を覚ましたのは政宗だった。
1度しかしなかったが、久しぶりだったし病み上がりだったのだ。もう少し寝かせておこうと、気づかれないようにそっと褥を抜け出そうとしたのだが、桜姫の指が政宗の指に絡みつく。
「……さ…むね」
動いた桜姫の唇にドキッとしたのは言うまでもない。
「桜姫?」
「まさ…むね?」
可愛い桜姫の声が政宗に届く。
歓喜のあまり政宗は思いきり桜姫を抱きしめた。そのまま口づけを落とし深く舌を絡ませた。
「……んっ…あっ……っ」
口づけの合間に聞こえる桜姫の甘い声が政宗の興奮を掻き立て、更に彼女を追い立てる。
「んっ…まっ……ぁあっ」
昨晩は聞く事ができなかった声が嬉しくて幸せで、政宗は彼女の全てを欲しくなりそっと胸へと手を伸ばし掛けた時、部屋の外に人の気配を感じた。
部屋の外へと顔を向けると彼女もそれにつられてそちらを見る。
「政宗さん、居ますか?」
家康の声だ。
政宗は寝所の襖を開けて、廊下に立っているであろう家康に返事をする。
「桜姫、居ますか?朝の薬持っていったら部屋にいなくて」
肌蹴ていた寝間着を整えながら立ち上がった政宗は、家康の所まで歩み寄り彼を部屋へ招き入れる。
その間に桜姫も寝間着を整えて家康の診察を待った。声が出るようになったことを家康に伝えてくれた政宗も桜姫の隣に座る。
「ちょっと…邪魔なんですけど」
そう政宗に言い放った家康は桜姫の身体を自分の方へ寄せて診察を始めた。
「……昨夜、何かした?」
喉の奥を覗き込みながら、一応、桜姫に聞いた家康に頬を赤くする彼女。
それを見れば何をと言われなくても分かるというものだ。
「愚問だな」
「……そうでしたね」
政宗とそんな会話を交わし診察を終了させる。
「たぶんですが……政宗さんのお陰で声帯が上手く震えるようになって声が出たんだと思います。ですが、まだ無理はしない方がいいと思うので安静にしていてくださいね」
薬と安静を言い渡し、くれぐれもと政宗に釘をさした。
家康が去ったあとも頬を赤らめている桜姫を政宗が抱きかかえる。
「そんなかわいい顔すんな。また喰いたくなる」
政宗の本気の笑顔に釣られて桜姫もクスクスと笑った。