第18章 【明智光秀】雨のち晴れ【R18】
「お前には酔っているがな」
思いもよらぬ光秀の言葉に、桜姫は驚いて目を見開いた。それでも唇が離れていく事はなく、更に深くなっていく事に驚きを隠せない。
やっと離れた光秀の唇は楽しそうに弧を描き、桜姫の顎を右手で軽く掴み上げるとその親指で唇をなぞり上げた。
ゾクリと全身が喜びに震え、桜姫は光秀に縋りつく。
桜姫の手に力が入ったことを感じ取った光秀は、ニヤリと笑い彼女からすっかり手を離した。
名残惜しそうな表情を浮かべる桜姫は、離れていった光秀の着物の裾をそっと掴むと、彼と視線を絡ませる。
「どうした?」
再び抱き締め、桜姫の耳元でそう囁いた光秀。
彼女の身体をそっと抱き上げると、続く奥の間へと運んだ。
明かり窓から差し込む月の光がうっすらと互いの顔を映し出す。
閨に行くのかと期待を隠せなかった桜姫を抱えたまま胡坐をかいた光秀は、彼女を横抱きにその綺麗な髪を梳いた。
「今宵は月が綺麗だが、酒でも飲むか?」
「光秀さんは、既に飲んできたのでしょう?」
「何故そう思う?」
「お酒の味が……」
顔を赤くしている桜姫に再び口づけを落とす。軽く舌を絡めてやれば更に頬を色づかせる。
「酒の肴はお前だな」
光秀の手が袷からスッと忍び込み、唐突に胸の膨らみを刺激し始めた。
『あっ』と漏れ出た声に気を良くした光秀は、袷を広げるように手を動かし、徐々に着物と広げていく。
光秀に横抱きにされたままで身動きも取りにくく、背でに熱の上がった身体は光秀から離れがたくなっていた。
恥ずかしさからのわずかな抵抗で、彼の胸に手を付いてみるが、すぐに退けられ口付けが落とされる。
「肴は大人しくしていろ」
緩んできた袷から、器用に帯を解き、その手に吸い付くような肌を暴きながら光秀は桜姫を口に含んでいった。
髪も頬も唇も、全て自分のものであると言わんばかりに……。
その熱に溶かされながら桜姫は彼の腕の中で身じろぐ。
小さな嬌声が光秀の耳を楽しませ、最高の肴を食している気分になっていた。