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【イケメン戦国】天下の姫君【短編集】

第18章 【明智光秀】雨のち晴れ【R18】


「少し待っていろ」

光秀は、持っていた荷物を置くと自分の足袋を脱ぎ、手拭いでサッと拭いて廊下の先へ歩いていく。
桜姫も玄関に腰を下ろして、濡れてしまった足袋を脱ぎ始めた。
そこへ湯桶を持った女中がやってくる。

「姫様、大丈夫でしたか、すごい雨で大変だったでしょう」

土間に湯桶を下ろすと濡れて冷えた桜姫の足をそっとそれに浸けてくれた。足を洗おうとしてくれている女中の手を遠慮させてもらい、自ら足に手を添えた桜姫。
微笑まし気に去っていた女中に頭を下げると、桜姫を抱え込むように背後から光秀の手が回ってきた。

「女中の手では不満だったか?」
「いえ、申し訳なくてお断りしただけです」

光秀の手が桜姫の下肢へ伸ばされる。そっと触れられた手は雨の中にいた為か冷たさが残っていて桜姫は思わずピクリと足を跳ねさせた。

「触れられただけで感じたか?」

耳元で囁かれて、今度は身体が跳ねそうになる。

「違います。光秀さんの手が冷たくて……」

頬を赤らめた桜姫を背後から覗き見て、光秀は己の手を彼女の脚に滑らせた。滑らかな肌が徐々に温まっていくのが分かる。
項に口づけを落とし、桜姫の身体の小さな反応を楽しみながら、彼女の脚を温めていった。

「光秀さんっ……」

桜姫の甘い声が自身を呼び、光秀はニヤリと笑みを浮かべると、湯の中から手を出し手拭いで湯を拭き取る。

「そろそろ温まっただろう?」

桜姫は小さく頷いて、光秀を見上げた。
潤んだ瞳が物欲しそうに見えるが、光秀は彼女の額にそっと唇を落として立ち上がる。

「俺は仕事に戻る。片づけは女中にさせておく。お前は部屋で少し休むといい」

新しい手拭いを桜姫に渡すと光秀は、新しい草履を履いて御殿を出ていってしまった。
疼き出そうとしていて熱は桜姫の頬を染めただけで、あっという間に去ってしまう。
物足りない顔をしているだろうか?それが少し恥ずかしくて桜姫は手拭いで顔を覆った。
温まった脚はほんのり色づいて、桜姫の纏う着物からは光秀の香が香る。

「光秀さんの馬鹿……」

桜姫の呟きは、雨の音と共に消えていった。
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