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【イケメン戦国】天下の姫君【短編集】

第15章 【豊臣秀吉】温泉へ行こう【R18】


よほど温泉旅行が嬉しかったのか、その日から桜姫は準備をし始め、毎日を楽しく過ごす。お揃いの手拭いを作ってみたり、足袋を新調したりしていた。
そんな様子を見守る武将たちも思わず笑みを零してしまう。

「秀吉、羨ましいな。あんなに桜姫が喜ぶなんてよほど楽しみなんだろう」

政宗と三成が廊下を歩いていると、ニコニコしている桜姫とすれ違った。

「はい、ですがまだお暇ができないようで、秀吉様も待たせすぎてはかわいそうだと申しておりました」
「まぁあいつはそんな事気にしなさそうだけどな」

確かに、桜姫は旅行を楽しみにしていたが、今すぐに行きたいとか、早く連れていってほしいとは考えていなかった。
遠足は前日が楽しい…と同じで、行くまでの間に色々準備をしたり楽しい事を思い描いてみたりしているのが楽しいのだ。
その日の晩、軍議を終えた秀吉が桜姫の元を訪れる。

「桜姫、起きているか?」
「秀吉さん?」

桜姫は、秀吉を部屋に招き入れた。
寝支度をしていた桜姫も彼の突然の来訪に笑顔を見せる。

「実は、急で申し訳ないが、明日から暇を貰えたんだ。お前も楽しみにしていたみたいだから、湯治に出かけようと思うんだが、どうだ?」

秀吉の言葉に桜姫は、更に笑顔を膨らませて大きくうなずいた。
両手を広げた秀吉の胸に飛び込んで感謝の言葉と仕事を無理したのではないかと心配を並べ立てる。

「お前はそんな心配しなくていいんだ。いつだって俺に世話を焼かれて甘えていろって言っただろう」

秀吉の胸の中でまた大きく頷いた桜姫。

「明日は早い?準備しないと!」

慌てて大きめの風呂敷やら袋やらを取り出そうとする桜姫を秀吉が繋ぎ止める。

「突然の出立だ、少しゆっくり出掛けるから明日、起きてから支度をすればいい」

あまり遅い出発では向こうでゆっくりできないのではないかと心配になった桜姫であるが、秀吉に言われては無理に支度をするわけにもいかなかった。大人しく秀吉に促されるまま褥について背中をトントンとされればあっという間に眠りに就いてしまう。
まるで子供ようだを思いながらも秀吉は静かに眠る想い人を眺め、自分も眠りに就くのであった。
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