第7章 Happily ever after ⑤安土城の珍客〜家康〜
「う、ん。でも、本当に捨てられたのかな。こんなに可愛いのに」
暫く沈黙が続いて
「家康わたし、やっぱり」
「だめ」
「まだ、何も言ってない」
「あんたの言いそうなことなんて、大体見当がつく。どうせ自分で面倒見ながら母親を探したいとか思ってるんでしょ。でも、こればかりはだめだ」
(能天気なあんたが知らなくていい世界をあえて知る必要はないし、見せたくない。今朝だって、俺の言葉にびっくりした顔してたくせに)
「どうして?家康には迷惑かけないから。お願い」
こうなると、サラは頑固で中々厄介だ。でも、今回はどうしても許可出来ない。
「あんたね、俺に迷惑かけないって、どの口が言ってんの?」
(危なっかしいあんたの行動一つ一つに、日々俺が振り回されてる事知らないだろ)
「この口だもん」
そう言ってサラは俺に近づくと、
チュッと、口づけた。
「っ..........」
不意打ちを食らった。
「お願い」
「あーもう..............。言っとくけど、俺と一緒に探すこと。絶対無理はしないこと。あと、もう信長様達もこの件については其々に動いてもらってるから、その邪魔はしない事。分かった?」
「うん。ありがとう。家康、大好き」
「あと、」
「えっ?.....っん」
サラの顎を持ち上げて噛みつくように口づけた。
「やられっぱなしじゃ性に合わないから、仕返し」
ベロって舌を出す。
「もうっ、赤ちゃんが起きちゃうでしょ」
顔を真っ赤にさせて俺を睨むサラはやっぱり可愛かった。
暫くすると、三成が女中を連れてやって来て、赤子は連れて行かれた。
俺は、赤子の親が見つかるまではサラが勝手に行動をしないよう見張るためにも、城で過ごす事にした。