第3章 Happily ever after①君の欲しい物〜家康〜
「俺にも、食べさせてよ。」
普段なら絶対言わない本音が口から溢れた。
「えっ?」
一瞬驚いた顔をしたが、
「えーと、じゃあこれ食べてみて。」
そう言って、きんぴらごぼうを食べさせてくれた。
「どう?美味しい?」
俺好みの味にちゃんと仕上がってる。
「悪くないんじゃない。」
プイッと顔を背けて答える。
俺の天邪鬼な態度には慣れているサラは嬉しそうに言った。
「良かった。家康好みの味付けにしたくて、政宗に教えてもらったの。」
「........はっ?」
何で政宗さん?
もう、怒りも限界だ!
咄嗟に、箸で煮物を取ろうとするサラの手を強く掴み上げる。
「家康?どうし.....いっ....」
折れそうに細いその手首に更に力を入れると、サラの手から箸が落ち、転がった。
「信長様の次は政宗さん?俺も随分、舐められたもんだね。」
鎮めたはずの怒りと苛立ちが再び湧き上がる。
もう片方の手首も掴み、サラをその場で押し倒す。
何が起こっているか理解ができない顔で、サラは俺を見つめている。
「家康、っ痛い、離して。」
「離さない。無防備なあんたが悪い。」
「んっ........。やめっ.........っん」
逃げる口を強引に塞ぐ。
いつもは重ね心地のいいサラの唇でさえ、俺を苛立たせ、いっそ噛み切ってしまいたい衝動に駆られる。
苦しさから、頭を捩り逃げようとするサラ(息なんてさせてやらない)
抵抗力を失い始めたサラの唇は、俺の舌によって更に深く攻められ、やがて強く掴んだ手から力が抜ける感覚がして、俺は漸く唇を離した。