第3章 Happily ever after①君の欲しい物〜家康〜
「サラ!」
廊下を歩いて帰ろうとするサラを呼び止める。
「家康?」
「しょうがないな。するんでしょ?ぴくにっく。」
そう、今朝軍議の前に、サラから天気が良いから軍議が終わったら御殿の庭でピクニックをしようと言われていて、久しぶりにワサビに会わせたくて、了承していたのだ。
「うん。でも、家康、無理してない?」
サラの手には、頑張って作って来たであろう、
重箱らしき風呂敷包が握られている。
「はぁ。無理してるのはどっち。行くよ。」
サラの手から荷物を取り、手を引っ張って中庭へと向かった。
サラは、満開の花水木の下がいいと言って、敷物を敷いて腰を下ろした。
「急いで作ったから、ちゃんとできてるといいけど。家康のは右側ね。辛めに作ってみたよ。」
急いだと言う割には豪華な内容に、前々から用意してくれていたのだと分かる。
食べ物の匂いにつられてワサビも茂みから顔を出した。
「ワサビー。会いたかった。ワサビのご飯も持って来たよ。」
ワサビの頭を撫でながら、持ってきたリンゴを食べさせる。
やばい、ワサビにまで嫉妬しそうだ。