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武将達との恋物語

第2章 口づけの先 〜伊達政宗〜



話し終わると、少しの間沈黙があり........


「政宗様、お可哀想。」
針子の一人が呟いた。

「っえっ?」

「だって、口づけだけはいいなんて、
それでサラ様の気持ちは満たされても、
政宗様の気持ちはどうなるんですか?」

「っ........,。」
言葉がでない。


「こらっ!サラ様を責めてはダメ。」

年上の針子仲間の花さんが軽く針子の頭をコツンとし、
サラに向き直り手を握った。

「サラ様。サラ様は本当に政宗様がお好きなんですね。」
こくりとサラは無言で頷く。

「政宗様もきっとサラ様と同じ。
サラ様をとても大切に思われておられると思います。
サラ様がいらっしゃる前の政宗様は、
気に入ったものは、人であれ、物であれ、
直ぐに手に入れなければという所がございましたが、
サラ様がいらっしゃってからと言うもの、
そんな浮いた噂はパタリとなくなり、
安土中の女性の涙で湖の水が溢れたと言われるほど。
そんなに深く愛されておられるサラ様を、
一夜の情事で嫌いになるなんて事はございません。」

花さんの話の途中から、
サラの目からは涙が溢れ出し止まらなかった。

「花さんの言うとおりです。
なんて私はバカだったんだろう。
政宗は、いつも優しくて、すごく優しくて
あんなにも私の事を大事に思ってくれていたのに。」

自分の気持ちばかりを優先して、
どれだけ政宗にひどいことをしていたのか。
自分の幼さがイヤになる。

「サラ様、初めは誰でも怖いものです。
ましてや相手が好きな人であれば尚更のこと。
ですが、少しの勇気をもってみませんか?
好いた殿方から恋乞われ、求められるなんて、
素敵ではありませんか。」

花さんの言葉は不思議なくらいすーっと、
サラの胸に染み込んだ。

「花さん、ありがとうございます。
私、政宗の優しさに甘えすぎてたみたい。」

サラは涙をぐいっと拭き取り、
花に向かって笑顔で答えた。

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