第2章 口づけの先 〜伊達政宗〜
政宗の話は、先の戦が終わった日まで遡る。
サラを庇って鉄砲で撃たれた政宗が、
戦の後処理を終え御殿へと帰ってきた日、
サラは政宗の御殿に会いにきた。
言うまでもなく、
思いを確かめ合った2人は口づけを交わし、
政宗はサラを褥へと倒しその先へと思っていたがー
「っ......政宗、だめ。」
ちらりと見えた政宗の包帯が痛々しそうで、
今日はちゃんと療養してほしいと言われ、
政宗も男の意地というか、がっついていると思われたくなく、
その日は終了。
後日、包帯も取れ、完全復活した政宗は、
二度目のチャンスを逃さまいと、
家臣に命じてサラの草履を隠し、
逃げられないようにしたのだが、
「どうなったんだ?」
食い入るように秀吉が尋ねる。
「口づけの後、急に予定を思い出したとか言って、
帰ったんだよ。」
「だってお前、草履隠したんだろ?
一体どうやって?」
「あんのバカ、草履がないと分かると、
そのまま裸足で走って帰ってったんだよ。」
「ぶっ........。」
秀吉は、思わず吹き出しそうになって、
口元を手で覆った。
(そういや、裸足で帰ってきた日があって、
どうしたのか問い詰めたっけ。
結局教えてはくれなかったけど。)
その後も、何度試みても、
サラは決まって口づけの後になると、
「月の物が来た」
「胸が苦しい」
「照月が呼んでる」
などなど、もうウソか本当か分からない様々な理由をつけて
政宗を拒んだと言う。