第12章 野生な彼〜直江兼続誕生日sp〜
「まぁ葛粉ならば体に害は無いが、これを高値で売り捌くとなれば取り締まることになるな」
「そうですよね…」
「全く、何を言ったらこんな物をもらうんだ?」
「それは…」
言えないよ。兼続さんが甘えてくれないって愚痴ったなんて……
俯いて黙っていると、
「まぁ良い。これからは気をつけろ。ただでさえお前は隙だらけで危なっかし………っ!」
話の途中で、兼続さんは言葉を詰まらせ手に持つ箸を落とした。
「兼続さん?」
(兼続さんがお箸を落とすとこ初めて見たかも)
「……っ、うっ、」
珍しい光景を見て胸をときめかせていると、兼続さんは呻き声を上げ胸を掴んで苦しみ出した。
「兼続さん、どうしたんですかっ!」
近寄って顔を覗き込む間も無く兼続さんは畳の上へと倒れ込んだ。
「兼続さんっ!」
(さっきの薬のせいっ!?)
「誰かを呼んできますっ!」
立ち上がって誰かを呼びに行こうとした私の腕を兼続さんが掴んだ。
「!」
「行くな。これは毒ではない。暫くすれば治る。こんな事で迷惑をかけられない」
「でも」
「サラ、膝を貸してくれ。それで治まる」
「っ………」
私の膝の上に頭を乗せて横たわる兼続さんに、不謹慎だけどキュンとしてしまい、そのまま言う事を聞いてしまった。
「本当に大丈夫ですか?」
頭を撫でて体調を伺う。
「ああ、そのまま頭を撫でてくれ」
「は、はい」
いつもは絶対に言ってくれない言葉と弱々しい兼続さんに胸はキュンキュンしっぱなしで、言われるがまま膝を差し出し頭を撫でた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。心配するな」
そう言われて、私は兼続さんの頭を撫で続けたけど……
「かっ、兼続さんっ!?」
数分後、兼続さんは四つん這いで歩き出した。