第11章 いいこと探し 〜直江兼続〜
「サラやめろ」
「やめません。あなたに触れたいんです」
もう三ヶ月も兼続さんと触れ合えていなくて、やめられるはずがない。
「……っ、サラっ!」
「兼続さん、忘れてませんか?私は、元の時代に戻るよりもあなたのそばに居たいと思ってここにいるんですよ?あなたの事が好きで、好きで、大好きなのに、そんな簡単に私を止められると思わないで下さい」
お願い、私を愛する事を怖がらないで。
「っダメだ、今お前を抱けば、加減できる自信がない」
私の両肩を掴んで兼続さんは自制の息を大きく吐いた。
「大丈夫です。あなたは私もお腹の子も、傷つけたりはしません」
どれだけ激しい行為でも、あなたは私を傷つける行為はしないってこと、私は身をもって知っている。
「この子がお腹にいる間は、私がこの子を守ります。…あ、でもこの子がお腹から産まれたら、その時は一緒に守って下さいね?兼続さんはそれまでに親になる覚悟を決めてくれればいいんです。って、偉そうに言ってますが私もなんですけどね…ふふっ」
親になる覚悟…
赤ちゃんがお腹の中に十月十日いるのはきっと、私たちに親になる覚悟を持ってもらうため。
「この子がお腹の中で育っていくように、私たちも、親になる気持ちを育てながら、”いいこと”を二人で探していきましょう?」
これから先の未来はいいことばかりじゃないって分かってる。でも兼続さんとならきっと、たくさんの”いいこと”を見つけて行ける。
「っ……お前は、本気に馬鹿だな」
私の頭を引き寄せて兼続さんは私を優しく抱きしめる。
ほら、ちゃんと加減してくれてる。
「兼続さん愛してます」
戸惑ったまま私を見つめ続ける兼続さんに軽くキスをして、ぎゅっとその首に抱きついた。
「今はただ、私だけを愛して下さい」
彼に口づけると、頭の後ろを持たれて激しい口づけが帰ってきた。