第11章 いいこと探し 〜直江兼続〜
「………ん、……ふ、」
差し込まれた舌から彼の熱い温度が伝わってくる。
「っ、はっ、…あっ、ん、……ん、兼続さん」
「っ、…はぁ、何だ?」
「今日一番の”いいこと”、探せました」
「……っ、馬鹿」
照れた顔で私の指を絡め取ると、そのまま褥にゆっくりと倒された。
身体中に落とされるキスも跡も、受け止める彼の熱も全てが愛おしい。
「兼続さん…」
「……っ、サラ」
今はまだ朝餉の時間だと言うのに、私たちは互いの名前を呼び合い身体を絡ませて情事に溺れ、その後軍議に遅れて行った兼続さんが、信玄様から相当揶揄われたことは言うまでもない。
・・・・・・・・・
「サラ、何してる!」
「あ、兼続さん、天気がいいから布団を干そうと」
「そんな事は他の者にやらせろ!転びでもしたらどうする」
・・・・・・・・・・
「サラ、どこへ行く?」
「え、お腹の様子を見てもらいにお医者さんへ」
「護衛も付けずに行くな!待ってろ、俺も一緒に行く」
・・・・・・・・・・
「兼続さん、休暇にしませんか…って、…わっ、わっ、きゃあ!」
「サラっ!」
廊下でつまずいた私は、間一髪で兼続さんが下へ滑り込んで体ごと私を受け止めたてくれた。
「あ、ありがとうございます。さすが兼続さん」
アクシデントとは言え、抱きしめられて嬉しい私とは打って変わって、兼続さんは大きなため息を吐き、
「お前一人でも手に余るのに、この先が思いやられるな」
何かをボソッとつぶやいた。
「え?何か言いましたか?」
「何でもない。幸せの試練と言うやつを身に染みて感じているだけだ」
「ふふっ、私も幸せです。こうして兼続さんに抱きつけて、また”いいこと”見つけちゃいました」
「ああ、そうだな」
兼続さんは私を見て笑うと、優しく抱き寄せて唇を重ねた。
ああ..ほら、また一ついいことが増えた。
これから過ごすあなたとの日々はきっといいことで溢れてる。
「お前の体調が落ち着いたら、一度俺の親族をこっちに呼ぼうと思ってる」
「えっ?」
「俺の妻を皆に紹介する」
「つ、妻っ!」
「何を驚いてる?」
「そんなの。驚くに決まってますっ!」
あなたとの日々はドキドキといいことの発見でこれからも続いていく。
終