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武将達との恋物語

第10章 Reincarnation 〜織田信長〜



「その男を連れて行け」

信長様はお付きの者に、私の命を狙った者を連れて行くように命じた。
男の手には信長様が投げたナイフが刺さったままだ。あの時、咄嗟に投げて助けてくれなかったらと思うと、体はまた恐怖で震えた。


「怪我はないか?」

「あ、はい。助けてくれて、ありがとうございます」

「貴様は静かについて来る事もできんのか?久しぶりに肝が冷えた」

抱きしめてくれる腕から心配してくれた事が伝わると同時に、信長様のその言葉に、ある記憶が蘇った。


「…こんな事…前にもありましたよね?」

「はっ?この間の寺の刺客の事を言っておるのか?」

「いえ…確か、私がマムシに襲われそうになって、それを見ていた信長様が慌てて駆けて来て肝が冷えたって……………あれ?違う。これは…」

私の記憶じゃ…ない……


「それは空良の記憶だ」

「……っ」

「貴様は一体、俺に何がしたい?」

信長様は抱きしめていた腕を外して私の肩を掴むと、険しい顔で私を睨む様に見下ろした。

「何って…、真実が知りたいってずっと…」

「空良の姿形で現れ、空良の記憶を語り、空良に化けたつもりか?」

「違っ、私だって混乱してるんですっ!真実を知りたくてここへ来たのに、いきなりあなたの恋人に似てると言われ、その方の夢を毎晩見て、挙げ句の果てに今、あなたの情婦かと言われて命まで狙われて!」


「情婦だと?あの男、確かにそう言ったのか!?」

「そう…聞こえました」

「この期に及んでまだ空良をそのように言う輩がおるとは…、あの男、決して生かしてはおけんっ!」

ああ、やっぱり空良の事しか頭にないんだ。
私と今の今までしていた会話の中身なんて、もうとっくにどこかに追いやられてしまった。


「先ほどの刺客を殺しても、空良は喜びません」

私をさっき抱きしめたのも、少し焦ったようなその態度も、全て空良に向けられているもの。

「そんな事、貴様に言われずとも分かっておる。だが奴はもういない。俺を止められるのは奴だけだ…」

「だから私が止めますっ!あの人を殺すのはやめて下さい」

もうこれ以上、空良を失った悲しみを憎しみに変えないでほしい。



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