第10章 Reincarnation 〜織田信長〜
・・・・・・・・・・
結局、引き受けてしまった。
「信長様、お酒をお待ちしました」
「入れ」
「はい、失礼します」
とりあえずお酒を持っていけと言われて持ってきたけど…
「!…貴様か、まだおったのか」
「はい。…まぁ、色々とありまして…」
(私としても、まだ信長様に聞きたい事はあるし…)
「……ふっ、秀吉に、俺の夜伽の相手でもしろとでも言われたか?」
「よっ、夜伽って…!」
(大人の夜の相手をするって事だよねっ!?)
「ちちち、違いますっ!ただ側にいろと言われただけで…」
これだけは全力で否定しなければっ!何たって経験値は0なんだから…
…でもそうか、夜に男の人の部屋に行くなんて、しかもお酒を持ってなんて、襲ってくれって言ってるみたいなものだよね?(違う?)
「安心しろ、俺が抱きたいのは一人だけだ。いくら貴様が奴に似ておるからと言って、手を出す程腐ってはおらん」
信長様は自嘲気味に笑うと、私の持つ膳を受け取った。
「それ程に空良を好きだったんですね」
私は図々しくもその隣に腰を下ろし、思い切って核心に触れた。
「…っ、貴様…、秀吉から聞いておらんのか?空良の名前を出して手討ちにならなかった者はおらんと…?」
「き、聞きました。…っでも、出会ってすぐに首を絞められ殺されそうになりましたから、もう平気です」
(うそうそうそっ!本当は今にも失神しそうなほどに怖い。けど、インタビュアーはこんな事で怯んではいられないのだ!)
「くくっ、気の強い女だ。出会ったばかりの頃の空良に、そんなところも良く似ておる。もしや貴様、生娘か?」
「…はいっ?」
(生娘って、いわゆる処女かって聞いてる?)
「なっ、何でそんな事っ、あなたに教えないといけないんですか?」
(どうせ、どうせ男性経験はゼロゼロですよ〜)
「くくっ…俺の過去には触れたいくせに、貴様の事は話せぬのか?まぁ良い、今の言葉で良くわかった。まこと、その反応まで奴に似ておる」
笑ってはいるけどその目はどこか寂しげで、私を見ているのに、多分、私を通して空良の面影を探してる。