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武将達との恋物語

第10章 Reincarnation 〜織田信長〜



「じゃあ、信長様の狂気じみた行動が増えた理由ってのも、空良を失った悲しさからって事ですか?」


「狂気じみた…か。そうだな……」

秀吉さんは遠くを見つめて噛みしめる様に言葉を吐いた。


「信長様は空良に出会う以前より、天下布武を成し得る為に、沢山の命を散らして来た。それは残酷な程にな。だがそこには確固たる信念がおありだった。だが空良に出会い、あいつの優しさに触れる中で、信長様自身もその戦い方も変わっていったんだ。無駄な血を流さず話し合いを重んじる様になった。あと少しでこの日ノ本がまとまりかけた矢崎に空良を失ってしまった。信長様はそこからは一切の情けを捨てられてしまった。空良を失ったのは、自分の甘さと無駄な情けが招いたのだとご自身を責められて…」
 

何だか…信長様の気持ちが理解できてしまう。
私にはまだそんな人はいないけど、大切な家族を死に追いやられたら、恨みが勝ってしまうのは仕方がないんじゃ無いかな…


「お前、いつまでここにいられる?」

あまりの悲恋に涙を流す私に手ぬぐいを差し出し、秀吉さんが尋ねた。

「グスッ、ありがとうございます。私がいられるのは七日後の本能寺のへ………あっ、違う、七日後に迎えが来るので、それまでです」

(危ない危ない、歴史をなるべく変えない様、本能寺の変の事は言ってはいけないんだった)

「…そうか。こんな事、会ったばかりのお前にお願いするのも何だが、よければその日まで、信長様の側にいてくれないか」

「?…私が…ですか?」

「お前の話にも、その目にも嘘はなさそうだ。何より、信長様がお前を殺さず俺に託した。空良にそっくりなお前が少しの間でも側にいてくれたら、信長様の心も少しは安らぐかもしれない」


「辛い事を思い出させてしまって、逆効果かもしれませんよ?」


「そうかもしれない。だが信長様が空良を待つこの寺に、空良に瓜二つのお前が現れたのは偶然とは思えない。頼む、話をしてみてくれないか」


「秀吉さん…」




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