ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第12章 取引
正直お姉様方とイチャイチャしている様を
想像すると胸が痛くなるが、それ以上に
エルヴィンさんがダリウスさんのお店で働いていたらと
想像していた方が面白かったので意識をそちらに向ける。
そこで今更気づいた。
そうか、私はもうあのお店に立たなくなるのだ。
婚約発言から我武者羅にやってきて
ダリウスさんにももう働けないと
宣言していたのに実感が湧かず、
どこかで全てが終わった後も今まで通りに
考えてしまっていた。
そんな事有り得ないし、私はもうこのシーナには
居られなくなるというのに、随分お花畑な事を
考えてしまっていたようだ。
自分の馬鹿さ加減に嘲笑していると
「パン屋の女将さんが言っていたように君は
今日様子がおかしいね。一体何があった?」
と、エルヴィンさんが真剣な表情で尋ねてきた。
もう食事も終わり、残ったお茶を飲んでいる
状態だったので、絶妙のタイミングだったと思う。
というより、エルヴィンさんが今まで
敢えて避けてくれていた会話なので、
このタイミングも彼がセッティングして
くれたようなものだ。
きっと話しやすいだろうと考慮してくれたのだと思う。
正直、いつ切り出すかを悩んでいたので助かった。
私は何から話すべきかと考えたが直球でいくことにした。