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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第12章 取引





「任せなさい。迷惑をかけるとは思わないように」

「はい・・・」


人の心を先読みするエルヴィンさんを
有り難いと思いつつ、きっと私の様子から
何かを悟っているかもしれないと思うと
自分のヘッポコ具合が嫌になる。

ここで自分の決心を鈍らせてはいけないし、
エルヴィンさんとの最後の一時を残念な記憶で
終わらせたくない。

私は数回深呼吸して何とか冷静さを取り戻した。


「すみません。らしくなくて。
さぁ、ご飯を選びに行きましょう」

「あぁ、そうだね」


エルヴィンさんの穏やかな笑顔を見て、
私は漸く今日彼の顔をしっかり
見れていなかった事に気づいた。

正直勿体無かったと思う。

そこで凹んでも仕方ないので、
私は気を取り直して彼と共に食事を選んだ。



食事中はいつものように他愛の無い会話を楽しめた。

エルヴィンさんは話術が巧みで、
いつもの調子が出ない私でも会話を楽しめる。

どうやら香水と整髪料は使い勝手が良いようで、
結局仕事中も使ってくれているらしい。


「気に入って頂けて本当に良かったです」

「あれから商談関係が上手くいっているような気がするよ」

「商談とは言い得て妙です」


多分、貴族のお姉様方との商談だろう。
商人のような言い方に笑えてしまい
「エルヴィンさんをダリウスさんのお店で
雇ったら固定客が付きそうでスカウトしたいくらいです」
と素直な感想が口から出る。


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