ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第19章 ・・・そして
きっと様々な罪悪感があるのだろう。
調査兵団団長として下した命令により死んでいった
仲間達やその遺族・・・そしてあまり詳しくは
語ってもらえない彼の過去。
それらに問うのだ『自分は幸せになっても
良いのだろうか?』と。
生真面目で不器用なエルヴィンらしい思考だと思う。
「誰が貴方に不幸になれと言ったの?神様?
貴方を恨んでいる人間?・・・それとも貴方自身?」
彼はハッと顔を上げて私の顔を見た。
「不幸が天災なら防ぎようも無いから諦めるかもしれない。
人災なら前以て出来る限り自衛するわ。
私はもう自分から幸福を手放す気は無いの。
エルヴィンは?貴方はどう思っているの?」
暫く沈黙していたエルヴィンだったけれど自嘲気味に
「情けない。意気地が無くてすまなかった」と嘲笑った後、
意志の強い瞳を宿す。
「危うく俺の『幸せ』である君達を否定し蔑ろに
するところだった。君とお腹の子を守る為に俺は
最善を尽くすよ」
「えぇ、期待しているわパパ」
私はニッコリ笑いながらエルヴィンの頭を
グシャグシャに撫で回した。