ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第11章 望んではいけないもの
覚悟を決めた私は予てより練っていた計画を
実行する為動き始めた。
合間を縫ってダリウスさんの元へ赴き事情を説明して、
もうここでは働けない事を告げる。
そして復讐をするのだと宣言した。
以前からダリウスさんは「協力は何でも惜しまない。
だから死に急ぐような真似はよしなさい」と言って
くれていたのでそれに甘える形になってしまったが、
彼だけでも味方がいるという事実は私にとって心強かった。
今後の計画の話をしている最中、
何故だか涙が止まらなくて、
ダリウスさんの前で号泣してしまった。
ダリウスさんは私を抱きしめながら頭を撫でてくれて
「は頑張っている。今くらい泣いとかないと
後が辛いぞ」と励ましてくれた。
本当にこの人が『本当のお父さん』だったなら
良かったのにと、甘えながら暫く泣き続け、
泣き終えたのは日が暮れる頃だった。
「・・・本当にすみません。お洋服も汚してしまいました」
「男はそんな事気にしねぇって」
笑い飛ばすダリウスさんに泣き腫らした顔で笑い返すと、
彼は少し真剣な表情で「・・・あいつはどうするんだ?」と
尋ねてきた。
ダリウスさんが言う『あいつ』とはエルヴィンさんの事だ。
私は目を伏せながらエルヴィンさんの事を想う。