ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第11章 望んではいけないもの
「私は・・・エルヴィンさんを守りたいです。
今度こそ守ってみせます。・・・それには
エルヴィンさんを沢山傷つけなければいけません」
「あの男は話に乗ってきそうか?」
「えぇ、『エルヴィン団長』ならば必ず乗ってきます。
・・・というより、兵団を守る為には乗らなければ
ならない話です」
ダリウスさんは複雑そうな表情で続けた。
「あいつは・・・おまえを守ってくれそうか?」
「・・・自分の事は自分で片をつけますので」
心配してくれるダリウスさんには申し訳ないが、
それは無いだろう。
彼は『調査兵団団長』であって、
それ以外の何者でもないからだ。
『兵団を守る事』と『私を守る事』は残念ながら
同時に叶えることは困難で・・・一組織を
束ねるものならば前者を取るのが必然である。
むしろ、何故私が守ってもらえるというのか。
ダリウスさんは恐らく私達を『恋人同士』と
勘違いしているのだろうが、そんな事実は存在しない。
良く言ってもただの『話し相手』だ。
そんな相手を危険を犯してまで助けてくれるような
甘い男性ではない事を私は知っている。
もしかしたら多少の罪悪感で心が揺れてくれるかも
しれないが、私はそれを望んでいない。