ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第9章 お礼
「貴族の夜会であっても下品にはならない匂いだと思います。
むしろ男の色気がムワッとして女性方には好まれる香水を
使用されているのでは?」
「そうだね。今の香水はあくまで『仕事用』なんだ。
私が選んでほしいのは『私用』で使う物・・・かな。
だから気負う必要なく君が良いと思った物を選んでほしいと
思ったんだが・・・やはり厚かましい願いだっただろうか?」
悲しそうな表情をさせてしまった私はそれを全力で否定する。
「嫌だとか厚かましいとかそんな事は全然ありません!
その・・・選ぶのが私なんかで良いのかなって・・・
思いまして・・・」
「ラウリィの香水を選んだと君が言っていたから詳しいのかと
思ったんだが、違ったならすまない」
あぁ成程。
うっかり勘違いする所だったので更に恥ずかしい。
私は雑貨屋勤めで香水も扱っているし、一応貴族で
そういう物は目利きが出来るし、香水を選ぶなら
適材適所なのかもしれない。
「いえ、自信はありませんがエルヴィンさんに似合いそうな
香水を探しますね!それでエルヴィンさんはどのような感じの
匂いをご希望ですか?・・・普段遣いでも用途は色々と
ありますので・・・」
「そうだなぁ・・・表現が難しいが、大人しめの匂いが
好きかな。他人の為ではなく自分が安らげる匂いが良い」
エルヴィンさんの答えに私は少しホッとする。
どうやら私の勘繰りだったようだ。
てっきり好きな女性がいて、その方に合わせた香水が
欲しいのかと思ってしまっていた。