• テキストサイズ

ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第7章 『ロミオとジュリエット』が嫌いな理由





「エルヴィンさんさえ良ければ、いくらでも愚痴って下さい。
今こうしている間だけは調査兵団団長としてではなく
個人に戻って欲しいです。流れ的に調査兵団の話に
なってしまいましたが、私は調査兵団団長としてではなく
エルヴィン・スミスさんという人とお会いしているつもり
なので・・・」


生意気な申し出だとは思ったが、そう言わずにはいられなかった。

何となくエルヴィンさんに『個』というものが無いような
気がしたのだ。

「無い」というのは語弊があるかもしれないが
『エルヴィン・スミス』という存在がよく見えない。

よく見えるのは『第十三代調査兵団団長エルヴィン・スミス』
という確固たる強い何かだ。


「不思議です。貴方という存在が本当に目の前に
いてくれているのかが、わかりにくくて・・・」


自然と口に出てしまった言葉にエルヴィンさんが目を大きく
見開いて固まってしまった。

完全な失言だったと焦りながら「ご、ごめんなさい!失礼な事を
言ってしまって!」と頭を下げる。

暫くの間沈黙が二人の間にあったが、
少ししてエルヴィンさんから「いや・・・」と静かな声が
聞こえた。



/ 142ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp