ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第7章 『ロミオとジュリエット』が嫌いな理由
「本・・・面白かったですか?」
「あぁ、とても。詳しく話してしまうとネタバレになって
しまうので言えないが、このシリーズは一巻からずっと
話に筋が通っていて面白いと思う」
「そうですよね!私もそこが気に入っているんです。
なぁなぁにならない所が安心出来るというか、
消化不良にならないというか・・・」
「消化不良になると、とても残念になるからね」
エルヴィンさんと好きな本の話が出来る事がとても楽しくて、
私はつい饒舌になってしまったが、彼はそれを根気強く
聞いてくれて返してくれる。
「そういえば、君は推理モノが好きなんだね。
一般的な女性は恋愛モノが好きだと思っていたが・・・」
「推理モノが大好きです。恋愛モノは・・・正直、好きでは
ありません」
「何故?」
好きではない要素が多過ぎて何と言おうか迷いつつ、
少しずつその理由を話した。
「母に恋愛モノを押し付けられ過ぎて嫌悪感が出てしまったのと
・・・その物語が例えハッピーエンドだったとしても、
その裏を読んでしまうと言いますか・・・。恋愛って
そんな綺麗なものでもないじゃないですか?
それでつい現実を見てしまって・・・」
「成程、君はリアリストなんだな」
「偏屈なだけだと思います。特に悲恋モノは絶対
見たくないですし・・・」
「例えば・・・『ロミオとジュリエット』とかかな?」
「えぇ、大嫌いです。いくら本人同士が愛し合っても、
周囲に邪魔されて最後は二人共死んでしまうって救いが
無い気がします」
「だが、それで仲違いしていた両家が和解するという話だった
と思うが・・・。まぁ、それだけしか救いが無いという面も
あるか」
「当人同士が死んでから和解したって遅すぎるし、
死んだ二人にとってそんな事は知ったことではないと
思います。だって、二人はただ幸せになりたかっただけ
なんですから」
「それによって長年に渡る抗争が終わり、
民衆が救われても?」