ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第7章 『ロミオとジュリエット』が嫌いな理由
―――二週間後、ダリウスさんのお使いから帰ると
お店にエルヴィンさんがいて、心が踊った。
ダリウスさんとエルヴィンさんが何か真剣な顔をして
対峙していたので心配になったけど、
「どうしたんですか?」と尋ねても二人から
「何でもないよ」と言われてしまえば、
何も追求する事も出来ない。
二人の顔を交互に見遣りながら訝しんでいると、
ダリウスさんから早めのお昼を食べてくるようにと、
エルヴィンさんと一緒に追い出され訳がわからなかった。
念の為エルヴィンさんに、ダリウスさんに何か言われたのかと
尋ねてみたものの「あの店主はとても遣り手だな」という
更によくわからない言葉を貰ってしまい、私はそれ以上何も
言うのを止める。
またこの前と同じ広場で食事を取り、
私は洗濯したハンカチと箱に入った真新しいハンカチを
エルヴィンさんに差し出した。
「この前はすみませんでした。ハンカチは洗濯したのですが
・・・それでも気持ち悪いといけないので此方もどうぞ」
「そこまで気を遣わないで良いが・・・折角なので、
有難く使わせて貰うよ。此方からも、この前の本を・・・」
お互いすんなり交換出来た事にホッと胸を撫で下ろし、
他愛の無い雑談をする。