ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第6章 過去と現在の繋がり
「言い訳になってしまうかもしれないが、当時私と仲間数人は
ラウリィ・ダーウェルの死に疑問を持ち、調べようとした。
だが、すぐに上から圧力が掛かり、下手をすれば調査兵団が
潰されてしまう危機に瀕してしまい泣き寝入りするしかなかった。
本当にすまなかった・・・」
深々頭を下げて謝罪するエルヴィンさんの言う事は
本当の事なのだろう。
これが演技だったとしたら、調査兵を辞めて役者に
なるべきだと思う。
「・・・ごめんなさい、完全な八つ当たりだって事は
わかってます」
「いや、君の怒りは当然のもので、調査兵団団長として
私にはそれを受ける義務がある。吐き出したい事があるなら、
いくらでも吐き出すと良い」
気づけばエルヴィンさんは傍らで私の背中を撫でながら
涙を拭ってくれていた。
彼は確かに今は調査兵団団長かもしれないが、
五年前は分隊長でそんな責任を負う義務などない。
軍隊というものが上に絶対服従というのもわかっているから、
当時彼がどうにも出来なかった事は当たり前で、
折角楽しく食事をしていたのに自分からそれを
壊してしまった事が心に突き刺さる。
「本当にすみません・・・私は調査兵のエルヴィンさんと
お話をしていただけで、調査兵団団長なんて肩書関係
なかったのに・・・」
自分でも最早何を言っているのかわからないくらい頭が
混乱していたが、何故かエルヴィンさんが一瞬息を飲んだ
気配を感じ視線をやると、彼はなんとも言えない表情で
微笑んでいた。
「・・・どうか・・・しましたか?」
「不謹慎かもしれないが、ラウリィ・ダーウェルは良い恋人を
持っていたのだなと思ってね・・・。君のように一途で
調査兵を応援してくれる女性は稀な存在なんだよ」
「それが、ラウリィの幼い頃からの夢でしたから・・・」
「そうか・・・」