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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第6章 過去と現在の繋がり





「仮にラウリィが私以外の女性と付き合っていて
無理心中したなら疑いを持たなかったでしょう。
私も泣く泣く諦めたと思います。ですが、ラウリィは
お酒を一切飲めませんでした。お酒に弱いというレベルでは
なく、アレルギーの部類だと思います。ですから、酒場に
自分から近づくはずはないし、剰え他人を殺して
自殺する際にも飲むはずがありません。
彼はお酒を一口飲んでしまえば昏倒してしまうくらいでした
から、お酒を飲んでからそんな行動が出来るはずないんです。
手元が狂う前に昏倒してしまうんですから・・・」

「・・・何という事だ・・・」


額に手を当てて唸るエルヴィンさんは何も悪くないと
わかっていたが、五年も封印してきた感情が一気に
押し寄せてきて、私は止まらなくなった。


「私は絶望しました。少しでも調べてくれればわかった
事実なのに、誰も何も疑いもせずラウリィにあんな不名誉な
烙印を押しておいてのうのうと生きている事に。
仲間だったはずの調査兵が不審死を遂げているはずなのに、
何故誰も声を上げてくれなかったのか。
私はすぐ駆けつけたかった!でも、屋敷に数ヶ月も幽閉されて
漸く調査兵団本部に行ったら、ラウリィの名前を出しただけで
嫌な顔をされ門前払いされて、誰も私の声に耳を傾けて
くれなかった。結局、私は調査兵団を叩き出されて、
彼の遺品さえ貰えなかった。こんな酷い世界なら
滅んでしまえば良いと恨んで、私は何も考えられない人形に
なってしまいました」


途中から号泣しながらそう訴えると、エルヴィンさんは
以前同様「すまない」と言ってハンカチで涙を拭ってくれた。

五年前、調査兵団でエルヴィンさんと会えていれば少しは
話を聞いて貰えたのだろうか?



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