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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第6章 過去と現在の繋がり





「えぇ・・・私の所に彼の死を知らせに来てくれた
調査兵の方が、それも教えて下さいました」

「・・・そうか、それは辛かっただろうに・・・」

「彼の死は辛かったですが、それよりも彼にあんな
不名誉な死を与えられた事の方が辛かったです」

「それは・・・どういう意味か聞いても?」


エルヴィンさんの顔色が変わった事に気づき、
私は彼も当時何か感じた事があったのかもしれないと思えた。


「ラウリィは先輩などの付き合い以外では絶対酒場なんかには
行きません。基本的に彼は金銭的に困った時期が多くて、
無駄遣いをしたがりませんでした」

「確かに、ラウリィは真面目な男として通っていて、
休みの日も兵舎に残って自主練か、時々外泊届けを出して
何処かへ行っているかのどちらかだった」

「その外泊届けは私と会うためのものです。マリアと
シーナは遠かったですから外泊でないと会えませんでした」

「成程、その点に関しては合点がいくが・・・こう言っては
何だか、その外泊届けが全て君と会う時だけという根拠は
何かあるのか?」


冷静な指摘に私は自虐的な笑みを浮かべて、
エルヴィンさんを見つめる。


「残念ながらその根拠はありません。・・・ですが、
ラウリィが『酒場の女性と無理心中』という一点においては、
絶対あり得ないという根拠があります」


エルヴィンさんは動揺することなく「それを聞かせて欲しい」
と真摯な眼差しを向けてきた。


「ラウリィの死の状況は『酒場の女性を人気のない場所に
呼び出して、自殺する恐怖から酒を煽って精神を落ち着かせ
女性を殺害し、後に自らも自刃』でしたね?」

「調書ではそうなっていた。君はそこまで調べたのか・・・」

「えぇ、死の真相を知る事は私には必要でしたから・・・。
もしも、その調書が本当だったとしたら、ラウリィは誰かに
殺されたと断言出来ます」

「・・・っ!」


エルヴィンさんは一瞬辛そうな表情をしたが、
私に先を話すように促した。



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