ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第6章 過去と現在の繋がり
「・・・もしかして、君の恋人は調査兵・・・?
そして、もう亡くなっている・・・?」
「・・・あ・・・」
私はそこで何故エルヴィンさんの表情が曇ってしまったのか
理解した。
私が語った内容は全部過去形で、以前から恋人の話は
していたが、おば様の話から現在私に恋人はいないというのは
わかってしまっただろう。
しかも、それが調査兵となればほぼ100%生きていないと
いうのが、同じ調査兵として痛い程わかってしまったのかも
しれない。
「・・・す、すみません・・・黙っていようとかそういう
意図とかは無くて・・・何となく言い出せなかったというか・・・」
「いや、此方こそすまない。立ち入った事を聞き過ぎた。
しかし・・・ラウリィ・・・という名前・・・もしかして、
ラウリィ・ダーウェル?彼が君の恋人だったのか?」
まさか五年前に死んだ人物を覚えていて貰えているとは思わず、
私は力強くそれに頷いた。
「まさか、誰かに覚えて貰っているなんて思いませんでした・・・」
「覚えているよ。彼は若かったが、真面目で優秀で
前途有望な青年だったからね。・・・だが・・・」
そこでエルヴィンさんは言い淀み、口を噤んでしまった。
きっと、ラウリィの死に方を思い出したのだろう。
「壁外調査で死んだのではなく、酒場の女性と無理心中
・・・だったそうですね」
私の言葉にエルヴィンさんはハッとした表情になり
「知っていたのか」と辛そうに顔を歪めた。