ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第6章 過去と現在の繋がり
「・・・私の方も名前を伺っても?」
「勿論、私の名前はエルヴィン。エルヴィン・スミスだ。
宜しく」
エルヴィン・スミス・・・
何処かで聞いた事がある名前だと記憶を辿って止まっていると、
彼は困惑げな顔で「大丈夫か?もしかして、私の悪名でも
聞いた事があるのかな?」と尋ねられた。
調査兵のエルヴィン・スミス・・・
そこで漸く私は五年前の記憶に結びつき、
興奮のあまり身を乗り出した。
「もしかして、貴方がエルヴィン・スミス分隊長!?
五年前、よくラウリィから貴方のお話伺ってて、
すっごく強くて優秀で、次期団長には絶対エルヴィン分隊長が
なるはずだって聞いていたんです!」
エルヴィンさんは私の剣幕に押されながらも冷静だった。
「五年前は確かに分隊長だったね。今は恥ずかしながら
調査兵団団長をしている」
「やっぱり!ラウリィは人を見る目があったのね。
この前も遠征から戻った調査兵の数が昔より多く感じたから、
きっと新しい団長さんは凄い人なんだと思っていたんです」
まさか、昔恋人から聞かされていた人物に出会えるとは、
まるでお伽噺に出てくる登場人物と会えたくらいの衝撃だっ
た。
「わぁ、凄い!エルヴィン分隊長の班は他の班より被害が
少ないとか、読みが的確で先見の明があるとか、分隊長の
班になれてこれからも一生懸命頑張るってラウリィが
やる気出していました」
そこまで捲し立てるように言い終えると、
エルヴィンさんの表情が若干曇ったようになっているのに
気づき、首を傾げる。