ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第6章 過去と現在の繋がり
「此方こそ、変な思い込みをしてすまない。
そうだった・・・君は他の貴族とは一味違う女性だったね」
「それって・・・褒めてます?」
「勿論。君は素晴らしい女性だと思っているよ」
「どうせ、私は変わり者ですよー」
「変わり者でも良いじゃないか。調査兵である私も変わり者だ。
変わり者同士楽しく食事出来れば良いと思う」
確かにそうだ。
折角ここに来られたのだから楽しく食事をしない手はない。
「そうですね。じゃあ、席が埋まってしまう前に早く屋台で
食事を買いましょう!」
彼の手を取ってグイグイ引っ張ると、彼も楽しそうに
破顔して二人で色々な屋台を覗いた。
二人それぞれ食事と飲み物を買って空いていた席に着いてから
「頂きます」と買ったホットドッグに齧りついたら、
真正面に座っていた彼に思いっきり笑われてしまった。
そりゃあ、若い女が人目を気にせず大口開けて
パンに齧りつくなんてはしたないかもしれないが、
そんなに笑わなくとも・・・と思いつつ、
食事を咀嚼しながら彼を睨む。
「すまない、君は本当にここでは飾らないのだなと思ったら
嬉しくて・・・」
「嬉しい・・・ですか?」
「あぁ、嬉しいよ。今まで君をよく夜会で見掛けていたが
・・・何というか覇気が無くて、君が言っていたように
『人形』のようだったから少し気になっていたんだ。
そんな君があの時あんな大胆な行動を取って私を助けてくれて、
こうして今一緒に食事が出来る事に感謝しているんだ」