ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第6章 過去と現在の繋がり
私達は飲食系の屋台が沢山ある広場に来ていた。
好きな屋台で食べ物など買って各々が空いているテーブルで
食事をするという形式だった。
「・・・本当にここで良いのかい?」
彼は私が屋内のレストランではなく、屋外のこういう屋台を
選択した事に驚いているようで、恐る恐ると言った感じに
尋ねてきた。
「あ、ごめんなさい。貴方が普通のお店の方が良かったなら、
そちらでも結構です」
壁外調査などで屋外の食事に辟易してしまっているのかも
しれないと思ってそう返すと、彼は慌てて
「いや、君が良いならここで」と言ってきた。
彼の様子を暫く不思議に思っていたが、
思えば彼は私が貴族だと知っているし、
その貴族の娘がこんな屋台を選択するはずもなく
彼に気を使っていると誤解されたのかもしれない。
「あの、すみません。実は昔からこういう所が
好きだったのですが、普段一人だとこういう所で
食事する勇気がまだ無くて、今日は二人だから
普段出来ない事をしてみたくて、それで・・・」
彼は突然始めた私の言い訳を静かに聞いてくれて、
事情が分かるとまた穏やかに笑った。