ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第4章 彼の正体
ハンサムな彼の姿を見ていたら急に自分が恥ずかしくなってしまい、
この場から立ち去ろうと動いた瞬間、彼が此方を見た。
恐らく、何気なく視線を民衆に向けただけだったのだろう。
私を見た瞬間、彼は目を見開いて口を少し開けて
驚いているようだった。
遠征から帰って衣服とか汚れている彼の方が眩しく
綺麗に映って、自分の方が薄汚く感じてしまった私は
逃げるように裏路地へ走った。
昔はラウリィと共に夢を見て自分なりの努力をしていたのに、
それを放棄して安穏と暮らしていた自分が後ろめたかった。
今の姿をラウリィが見たら、どう思うのだろう?
そんな詮無い事を考えつつ、
私は漠然ともう二度とハンサムな彼と
夜会で会いたくないと思った。