ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第4章 彼の正体
口を中途半端に開けた姿はとても間抜けに見えたかもしれないが、
そんな事に気を使っている場合ではなかった。
白馬に乗っていたのは、金髪碧眼で堂々とした風格の
ハンサムな彼だった・・・。
何故ハンサムな彼が調査兵団の行列にいるのだろうか、
等と思考が停止してしまったが、すぐに夜会での噂話を
思い出し、合点がいく。
資金集めの為に夜会に出席していた彼を蔑んだ目で睨む貴族、
馬鹿にする貴族・・・その全てがやっと理解できた。
シーナにいる貴族達はわざわざ壁外へ挑む彼らを
馬鹿にする人間が多い。
壁の中にいれば安全で貴族ならばどんな状況になっても
食うに困ることはないだろうと高を括っているのだ。
実際は庶民の犠牲の上に立った贅沢なのに、
そんな事微塵も考えない。
私はそんな貴族達を嫌っていたのに、
この五年間ずっとそんな貴族達と同じ暮らしをしてきてしまった。