ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第4章 彼の正体
大通りに出ると沢山の人集りが出来ていて、
相も変わらず調査兵団への罵声が飛び交う。
私も視線を調査兵団の行列に向け、
つい癖でもうここにはいないラウリィを探してしまった。
ボーっと眺めていただけだったが、
私はある事に気づいてもっとよくその行列を凝視する。
今回の遠征は何人で行ったかわからないが、
五年前と比べて明らかに生存率が上がっているような
気がしたのだ。
昔なら100人以上で行って20人生き残って
帰ってくるか来ないかだったはずなのに、
今は怪我人は多いものの帰ってくる人間の数が多い。
・・・そういえばウォール・マリア陥落後、
調査兵団の団長が代わったという話を聞いた事が
あるような気がする。
もしかして、その団長の采配が凄いのだろうか?
それならば、この行列にその凄い人物がいるかもしれないと
好奇心が生まれる。
私は人をすり抜けて、行列が良く見える最前列を陣取った。
その団長様の顔は全然わからないが・・・確か代々団長や
師団長などの位が高い人物はループタイをしていたはずだ。
ループタイをしていて、それなりに年配の人物がいれば、
それがきっと今の調査兵団団長だろう。
不謹慎ながら一人一人じっくり眺めていたが、
残念ながらマントが邪魔して胸元が見えず、がっくりする。
自分の間抜けさに苦笑していると、目の前を白馬が通った。
他の馬が黒かったり茶色だったりしたので、
珍しく思った私は自然と顔を上げ馬上の人物を見上げる。
そして、その人物の顔を見た瞬間、
驚愕の余り硬直してしまった。
「あ・・・」