ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第3章 かつての私
ある日突然ラウリィは死んでしまった。
ラウリィの友人だという調査兵が直接私を尋ねてきてくれて、
それを知らせてくれたのだ。
私は急いでラウリィの下へ行こうとしたが、
運悪く両親にバレてしまい、そのまま数ヶ月も
軟禁されてしまった。
ラウリィの死で気が動転していた隙を突かれ、
両親の毒が私の精神を浸食していった。
数ヶ月後、漸く解放された私は既に抜け殻のようになっていた。
それでもラウリィの遺品だけでも貰えないかと
調査兵団基地を訪れたが、ラウリィの名前を出しただけで
何故か嫌な顔をされ門前払い宜しく叩き出された。
どうやらラウリィは調査兵として不名誉な死を遂げたらしかった。
ラウリィの死を知らせてくれた友人は残念ながら
壁外調査で亡くなった後で、誰にも頼る事が出来なかった私は
大人しく屋敷へ戻った。
もう何もかもがどうでも良かった。
ラウリィがいなければ、外へ出る理由もなく、
生きる気力も湧いてこなくて・・・死に目にも会えず
遺品さえ何も手に入れる事が出来なかった私は
その日一度死んだ。
お世話になった店主に連絡すべきだというのはわかっていたが、
店主を思い浮かべるだけでラウリィの事を思い出してしまい、
辛くて何も行動を起こせなかった。
幸せだったあの日々が二度と戻らない現実は20歳を
迎えたばかりの私には耐えられないものだったのだ。
こうして、私は数日前まで死人同然のまま過ごした。