ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第3章 かつての私
馬車で街まで出て宿屋へ行き、
市民に紛れる為質素な服に着替える。
着替え終わったら、尾行されていないか気を使いながら、
私はあるお店を目指した。
五年振りに尋ねたお店は相も変わらずそこにあり、
何故かそれが私の心を安堵させたが、それと同時に
苦い記憶も蘇る。
緊張しながらそのお店の中に入ると、
昔のように初老の店主がカウンターにいて、
私を視認すると驚いたように目を見開いた。
「・・・?なのかっ!?」
「ご無沙汰して申し訳ありませんでした」
店の入口で深々と頭を下げると、
店主は慌てて駆け寄ってきてくれて奥に通してくれた。
五年前と変わらず優しい店主に思わず涙ぐみそうになる。
カウンターの奥にあった椅子に座らせて貰うと、
店主は「あの時、一体何があった?」と五年前の出来事を
尋ねてきた。
自分でもまだ確実な証拠は掴めていないが、
確信はあったのでポツリポツリと少しずつ吐露し始める。
「・・・五年前、ラウリィは殺されました」